沈黙の銃規制

昼と夜で寒暖の差が激しい。

とは言うものの冬は明らかに終わっている。

待ち焦がれていた暖かい陽気がやってくると寂しくなる自分。この陽気もいずれ終わってしまうのか、と先回りで悲観するというつくづく辛気くさい性格である。あー、辛気くさ。

 

やたらめったら楽しみにしていた3月17日実施の小田急ダイヤ改正複々線である。小田急ユーザーの端くれとして、朝と夕方の地獄の混雑が緩和・解消されるかもしれないというのは森友問題、日本年金機構の外部委託問題、文科省の圧力問題、その他諸々と並んで重大な問題である。

 

通勤に小田急小田原線を使っている人は骨身に滲みてよく分かっていると思うが、混雑ぶりがまぁ酷い。上京するまでテレビのドラマなんかで見ていた満員電車の映像。電車車内の窓にへばりついたサラリーマン達。あれは現実だったのである。というかポジショニングを誤ると今でも窓にへばりつく羽目に陥るときがある。とにかく電車出入口付近に留まってはいけない。合言葉は「座席スペースを目指せ!」である。

 

小田急ダイヤ改正の謳い文句にて、栄光の混雑の緩和・解消がある。「現行 乗車率190%台の混雑→改正後150%台への改善」と堂々と宣言している。というか、そもそも乗車率100%って一体何なのか?と思わずにはいられない謳い文句である。我々乗客は設計乗客数を余裕で越えた乗り物に乗っているのか。で、肝心のダイヤ改正後の混雑実感具合はというと…正直変化無し。夕方はほんのすこぉしだけ空いている時もある気がするが、朝の通勤はびた一文変化なしの混雑ぶり。やっぱこんなもんか、と落胆した次第であります。解散!

 

アメリカでは現在、銃規制のデモ抗議が白熱している。最近あった高校での銃乱射事件が発端となっているらしい。Twitterでデモの様子をツイートしている人が「この人のスピーチ、歴史に残る。」と呟いており、アップされていた動画を見たところ、事件があった高校の女子生徒エマ・ゴンザレスさんがスピーチしていたのだが、その内容に驚いた。

事件で亡くなった級友達の名前を思い出と共に読み上げるのだが、途中で突然口をつぐみ、じっと前を見つめるのである。

感極まって喋れないのか?とか思ったが、それにしても沈黙が長い。本当に長い。スピーチ終わったのか?でも、彼女は壇上から頑として動く気配が無い。これ大丈夫かよ?と見ているこっちが不安になってくる。聴衆もまばらに拍手したり歓声を挙げたり、落ち着かない。それでもまだ彼女は喋らない。動かない。一体これは何なのか?放送事故?まだ喋らない。…まだ。まだ喋らない。………。

ピピピ。

タイマーの電子音が突然鳴った。彼女はようやく口を開く。「私がステージに上がってから、6分20秒がたちました。銃撃が終わった時間です。命のために戦おう。」颯爽とステージを後にする彼女。

自分は感動していた。何てインパクトのあるスピーチか。16-18歳の女子学生が凄く肝の据わったパフォーマンスである。世間では名だたる大企業が社員のプレゼン教育に力を入れていると思う。堂々と聴衆を見て、ジェスチャーを交えて話す。スライドは要点をまとめてとか、話したいことではなく聴衆が聞きたいこと知りたいことをプレゼンしろ、など微に入り細に入りの話がてんこ盛りである。世界中のプレゼンのエキスパートを束にしても彼女のスピーチにはかなわないであろう。彼女のパフォーマンスはかなり独創的である。長時間の沈黙は手抜きなんかでは無いであろう。恐らく彼女は亡き級友達のこと、事件当時のことに想いを馳せていたのでは。少女が大勢の聴衆の前で見事なパフォーマンスであった。

 

ポール・マッカートニーも銃規制支持を表明した。「アメリカで自分の親友が銃で死んだ。」と話し、自分は思わずハッとした。アメリカに銃規制があればジョン・レノンは死んでいなかったかもしれなかった。

アメリカの銃規制、本当の本当の本当に動きがあるかもしれない。

 

https://m.youtube.com/watch?v=u46HzTGVQhg